「平成28年度診療報酬改定についての答申書」が公開されました。リハビリテーションに関する要点は以下のとおりです。

詳細は中医協資料(PDF)を御覧ください。また日本言語聴覚士会にも情報が掲載されています。今回のまとめも中医協資料を参考に作成しました。

平成28年度 診療報酬改定概要(リハビリテーション関連分野)

1.疾患別リハビリテーション料の改定

H28診療報酬点数表

2.廃用症候群リハビリテーション料の新設

廃用症候群の特性に応じたリハビリテーションを実施するため、廃用症候群に対するリハビリテーションの費用を新たな疾患別リハビリテーション料として設ける。

1 廃用症候群リハビリテーション料(I)(1単位)180点
2 廃用症候群リハビリテーション料(II)(1単位)146点
3 廃用症候群リハビリテーション料(III)(1単位)77点

<算定要件>

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める患者(※)に対して個別療法であるリハビリテーションを行った場合に、廃用症候群の診断又は急性増悪から120日以内に限り所定の点数を算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合その他の別に厚生労働大臣が定める場合には、120日を超えて所定点数を算定することができる。

(※)急性疾患等(治療の有無を問わない。)に伴う安静による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの

<施設基準>

(1)廃用症候群リハビリテーション料(I)(II)(III)につき、それぞれ脳血管疾患等リハビリテーション料(I)(II)(III)と同様。

(2)専従の常勤理学療法士、専従の常勤作業療法士については、脳血管疾患等リハビリテーション料(I)又は(II)、運動器リハビリテーション料(I)、(II)又は(III)、呼吸器リハビリテーション料(I)又は(II)、障害児(者)リハビリテーション料及びがん患者リハビリテーション料における常勤理学療法士、常勤作業療法士との兼任は可能であること。

(3)専従の常勤言語聴覚士については、第7部リハビリテーション第1節の各項目のうち専従の常勤言語聴覚士を求める別の項目について、別に定めがある場合を除き兼任は可能であること。

3.リハビリテーション専門職専従規定の見直し

(1)難病患者リハビリテーション料の専従規定の見直し
難病患者リハビリテーション料において求められる「専従する2名以上の従事者」について、あらかじめ難病患者リハビリテーションを行わないと決めている曜日等において、他のリハビリテーション等の専従者と兼任できることとする。また、当該リハビリテーションを実施していない時間帯は、別の業務に従事できることとする。

(2)専従の常勤言語聴覚士の施設基準緩和
第7部リハビリテーション第1節の各項目の施設基準のうち、専従の常勤言語聴覚士を求めるものについて、相互に兼任可能とする。ただし、摂食機能療法経口摂取回復促進加算については、前月の摂食機能療法の実施回数が30回未満である場合に限る。

4.医療保険と介護保険のリハビリテーションについて、供給できる期間を拡大する

要介護被保険者等である患者に対して行うリハビリテーションは、同一の疾患等について、医療保険における疾患別リハビリテーションを行った後、介護保険におけるリハビリテーションに移行した日以降は、当該リハビリテーションに係る疾患等について、医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定できない。なお、目標設定等支援・管理料を算定してから3月以内に、当該支援における紹介、提案等によって、介護保険におけるリハビリテーションの内容を把握する目的で、1月に5日を超えない範囲で介護保険におけるリハビリテーションの提供を受ける場合は当該「移行」に含まない。

5.維持期リハビリテーションの見直し

標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合においても、1月に13単位に限り疾患別リハビリテーションを算定できることとなっているが、要介護被保険者等(入院中の患者を除く)に対する脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション、運動器リハビリテーションについては、これらのリハビリテーション料を減算しつつ、原則として次期の診療報酬改定(平成30年3月31日)まで延長する。

6.回復期リハビリ テーション病棟においてアウトカムの評価

回復期リハビリテーション病棟において、アウトカム評価を行い、一定の水準に達しない保険医療機関については、疾患別リハビリテーション料の評価を見直す。

7.摂食機能療法の対象の明確化等

(1)原因にかかわらず、内視鏡下嚥下機能検査、嚥下造影検査によって他覚的に存在が確認できる嚥下機能の低下であって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できる患者を摂食機能療法の対象とする。

(2)経口摂取回復促進加算2の新設
経口摂取回復促進加算の施設基準について、現行より短期のアウトカム基準を満たすことで届出できる区分を設ける。

<施設基準>

(1)当該保険医療機関において、摂食機能療法に専従の常勤言語聴覚士が1名以上勤務していること。ただし、ADL維持向上等体制加算、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料を算定している病棟の配置従事者と兼任はできないが、摂食機能療法を実施しない時間帯において、脳血管疾患等リハビリテーション、集団コミュニケーション療法、がん患者リハビリテーション、障害児(者)リハビリテーション及び認知症患者リハビリテーションに従事することは差し支えない。また、前月の摂食機能療法の実施回数が30回未満である場合に限り、第7部リハビリテーション第1節の各項目のうち専従の常勤言語聴覚士を求める別の項目について、兼任は可能である。

(2)過去3月間に摂食機能療法を開始した入院患者(転院、退院した者を含む)で、摂食機能療法の開始時に胃瘻を有し、胃瘻の造設後摂食機能療法開始までの間又は摂食機能療法開始前1月以上の間経口摂取を行っていなかったものの3割以上について、摂食機能療法を開始した日から起算して3月以内に栄養方法が経口摂取のみである状態(内服薬又は水分を不定期に経口摂取以外の方法で摂取する状態を含む。)へ回復させていること。

ただし、以下のものを除く。

1.摂食機能療法を開始した日から起算して3月以内に死亡した患者(栄養方法が経口摂取のみの状態に回復した患者を除く。)
2.消化器疾患等の患者であって、減圧ドレナージ目的で胃瘻造設を行った患者
3.炎症性腸疾患の患者であって、成分栄養剤の経路として胃瘻造設が必要であった患者
4.食道、胃噴門部の狭窄、食道穿孔等の食道や胃噴門部の疾患によって胃瘻造設が必要であった患者

(3)リハビリテーションに関する記録(医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等)は患者ごとに一元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であること。

(4)摂食機能療法を開始した入院患者(転院、退院した者を含む)について、氏名、胃瘻造設・紹介等の日時、経口摂取への回復の状態等を一元的に記録しており、常に医療従事者により閲覧が可能であること。また、当該患者の記録については、摂食機能療法の開始日から起算して、少なくとも5年間は保管していること。なお、「経口摂取への回復の状態」は、摂食機能療法を開始した日から起算して3月後の状態又は栄養方法が経口摂取のみである状態に回復した年月日について、患者ごとに記録してあれば足りるものとする。

(5)(2)で算出した割合を毎年地方厚生(支)局長に報告していること。